Gedichte · Präfektur Ehime ·

小諸なる古城のほとり

小諸なる古城のほとり

雲白く遊子(いうし)悲しむ

緑なす蘩蔞(はこべ)は萌えず

若草も藉くによしなし

しろがねの衾(ふすま)の岡邊

日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど

野に滿つる香(かをり)も知らず

淺くのみ春は霞みて

麥の色わづかに青し

旅人の群はいくつか

畠中の道を急ぎぬ

暮れ行けば淺間も見えず

歌哀し佐久の草笛

千曲川いざよふ波の

岸近き宿にのぼりつ

濁り酒濁れる飮みて

草枕しばし慰む

— 島崎藤村

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Quelle: 島崎藤村 († 1943) · gemeinfrei · Wikisource